藤井産業 株式会社 藤井 昌一 社長


電設資材商社
専門性で新たな価値を創造

「電設」「産業システム」「施工」の3部門を構え、専門性の追求の中から新たな価値の創造を目指す藤井産業株式会社。
県内産業界のリーディングカンパニーとして新しい時代への挑戦が続く。


profile

昭和29年(1954年)福島県生まれ。
玉川大学卒業後、昭和53年に藤井産業株式会社に入社。
藤井電産株式会社社長を経て、昭和60年に藤井産業株式会社取締役、同63年に常務取締役に就任。
平成2年から代表取締役社長に就任。


栃木県内での工業化の波と歩調を合わせて発展
藤井 昌一社長
藤井 昌一 社長

 明治16年8月に創業し、今年で130周年を迎える。当時の業態は「鍛冶屋」業。人々の生活の必需品だった鍋、鎌、クワなどの製造を行っていた。その延長上で、戦中さらに戦後のしばらくの間、有限会社藤井金物本店として、鉄工所も併設して金物類を商っていた。昭和30年12月、現名誉会長の藤井清氏が有限会社の事業を引き継ぎ、電気機械器具・諸産業資材の販売および建設工事請負業、鉄工業を目的として、藤井産業株式会社を宇都宮市清住に設立した。
 昭和30年代当初は、急速な家庭電化製品の普及の波に乗り、モーターなどをはじめとする家電製品の卸販売によって業績を伸ばしていった。やがて電線その他の電気工事材料メーカーの代理店資格を取得したのをきっかけに電設資材の取扱いへとかじを切る。〝鉄から電気へ〟という時代の流れをつかみ、早めにこうした転換ができたことがその後の発展の基礎となった。「名誉会長の先見の明だと思いますね」と当時の状況を語る。
 まさに高度成長の時代に突入しようとしていた時期で、栃木県内でも大型ビル建設が相次いでいた。取扱商品も電設資材を軸にしながら、その他の建築資材などへと広がっていく。昭和44年6月には、県内で最初の本格的な大型工業団地として造成された平出工業団地に本社機能を移転する。1万坪の敷地面積を有する成長企業として対外的な信用も高まり、なお一層の飛躍の時期に入った。栃木県の工業化のプロセスを支え、歩調を合わせて発展してきたといえるだろう。


3部門が連携して、あらゆるニーズに応える

 藤井昌一氏は平成2年、36歳の若さで社長に就任した。バブル経済崩壊の直前、日本経済全体が大きな転換期を迎えていた時期だ。「社長に就任した当時は、無我夢中だったというのが正直なところ」と振り返る。バブル経済崩壊の後、厳しい経営環境が続く。マーケットの規模に合わせ、リストラ、スリム化に努力を傾けてきた。しかし、ようやく安定しかけていたところに、リーマンショック、東日本大震災が追い打ちをかけた。
 「確かにこの間は大変な時代でしたが、それ以前のオイルショックの資材不足の時など、その機に乗じて荒稼ぎをしようとした業者もいた中で、紳士的な対応を貫いたわが社の姿勢を評価していただき、何とか乗り切ることができました」と語る。創業以来の精神である『お客さま第一主義』が実を結んだ結果だった。
 同社は社内に「電設」「産業システム」「施工」の3つの部門を構える。
 「電設」は、公共施設やオフィスビル、工場、住宅など、あらゆる建物の各種電設資材を取扱う。お客様のニーズに対応した品ぞろえと価格、正確で迅速な見積・配送、豊富な商品知識や提案、経験豊かな技術に基づくサポート体制などをベースに、人々がより生活しやすい新たなステージを実現する「プラス提案」を実践している。
 「産業システム」は生産部材や産業機器を扱う「機器制御部」、各種設備の設計・施工を行う「設備システム部」、IT化をサポートする「情報システム部」の3部が柱。パーツを供給する商社としての役割はもちろん、お客様のニーズに合ったシステムの提案や設計ができる技術のノウハウを蓄積し、課題の解決に向けてトータルプロデュースを行っている。
 「施工」は建築技術の進歩に伴ってより高品質な資材や設計・施工が求められる中、「建設資材部」と「建設部」が一体となってこれらのニーズに応える体制を整えている。時代に先駆けた建築資材類を豊富にそろえるとともに、独自の設計・施工技術の開発に力を注ぎ、安全・安心で環境や省エネにも配慮した技術のフィールドに積極的に取り組む。
 時代に即応するために、従来からの代理店としての営業に、専門性の高いエンジニアリングの要素を加えて、付加価値の高い商社機能を担えるよう方向性を転換した。「提案ができる商社」として確かな歩みを続けている。


蓄積したノウハウが生きる太陽光発電の技術
メガソーラー鹿沼
メガソーラー鹿沼

 これらの幅広い業務をこなすために、栃木県内にとどまらず、東北支店(仙台)を含め、茨城県、埼玉県などに多数の支店、営業所を展開している。また、群馬県の会社とのM&Aによって、営業エリアの拡大を図った。関連会社も6社を数え、グループ総体の従業員数は780人を超す。優れたスキルを持った人材を集めるため、中途採用も積極的に行ってきた。平成3年にはジャスダックへの上場が実現した。
 「対外的な信用が高まり、人材の確保やM&Aに際しても有利に働いたと思います」と、上場当時を振り返る。
 このところ急速に注目を集めている太陽光発電の分野でも一歩先をいく存在だ。「電設」部門の一環として既に15年前から取り組んでおり、家庭用では3000件、産業用では300件の実績を持っている。国による再生可能エネルギーの全量買取制度が始まったことから、売電事業に参入を図り、県内に4カ所(鹿沼、大田原2カ所、真岡)、総発電量8000キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)施設を建設した。
 今後の国の方針がまだ流動的なところがあるため、電力事業に直ちに本格的に乗り出すところまではいかないというが、「栃木県のサンシャインプロジェクト事業の一環として取り組んできました。広く知られるようになって、多くの問い合わせがきています。今後はシステムを提案し、販売することに力を入れていきたい」と語る。
 藤井社長は栃木県産業協議会会長をはじめ、栃木県経営者協会理事、栃木県経済同友会の副代表幹事など、さまざまな公職も務める。栃木県に関しては、産業のバランスは良い土地柄、と分析する。しかし、このところの円高、外交問題などの影響を受けて、輸出の不振が続く。撤退する企業も目立っている。「当面、厳しい状況は続くのではないでしょうか。新しい政権の景気対策がうまくいって、良いスパイラルが生まれてほしいですね」と語る。
 栃木県はさまざまな点で恵まれた環境にある。その分、のんびりとしていているので、もっと国内外に積極的にPRしていく姿勢が必要だという。「地元の企業ですから、栃木県が元気になることなら、できる限り協力していくつもりです。まずは企業を安定的に成長、発展させていくことが、何よりもの社会貢献だと思います」と、栃木県のリーディングカンパニーとしての責任を語った。



藤井産業株式会社
〒321-0905 栃木県宇都宮市平出工業団地41-3
TEL 028-662-6060 FAX 028-662-6063
URL http://www.fujii.co.jp/

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栃木の活性化の起爆剤に。