トヨタカローラ栃木 株式会社 喜谷 辰夫 社長


自動車販売業
自動車販売通して社会貢献

コンパクトクラスの車種を中心に、栃木県の車社会を支えるトヨタカローラ栃木株式会社。
生活に欠かせない足を確実に届けるため、社員一丸となって奮闘する。
地域に愛され、地域と共に歩み続ける。


profile

昭和27年(1952年)大阪府生まれ。東京で育つ。
慶応義塾大学工学部卒業。大手自動車会社に入社し大型車開発を担当。昭和61年、トヨタカローラ栃木株式会社に入社、翌年取締役に就任。
常務を歴任の後、平成6年、代表取締役社長に就任。


大型車開発から一転、販売への挑戦
喜谷 辰夫社長
喜谷 辰夫 社長

 喜谷社長は慶応義塾大学工学部を卒業し、自動車メーカーに入社した。約10年間、トラックの開発に携わった後、昭和61年、トヨタカローラ栃木株式会社に入社する。
 「縁あって栃木県に住むことになりました」と語る。
 同じ自動車産業ではあっても、大型車を製造するのと乗用車を販売するのとでは全く仕事の内容は違う。「バブルのピーク時に近づいていたころで、車がよく売れていたことが強く印象に残っています」と入社当時を述懐する。昭和62年、メイン車種のカローラがモデルチェンジし、いわゆる『90シリーズ』が登場したことも追い風になっていた。
 トヨタカローラ栃木株式会社は昭和36年に創業した。平成23年に創立50周年を迎えたばかりだ。戦後、モータリゼーションの波が急速に加速していく中で、業績を大きく伸ばしてきた。栃木県の総人口に対する自動車免許の保有率は、隣県の群馬県に次いで全国2位。県民生活になくてはならない車を提供することで、栃木県の発展を支え続けてきた。
 しかし、バブル経済の崩壊で右肩上がりの売り上げは終焉を告げる。こうした環境のもと、喜谷氏が社長に就任したのは平成6年のことだった。「消費者が求めるニーズや車に対する意識も大きく変化しました。同時に消費者保護やコンプライアンスの順守の重要性なども叫ばれるようになりました」と話す。
 これらを受けて仕事の仕方も大きく変わっていくことになる。また、社内的には義理の父親でもある先代社長が死去し、会社経営の全権が喜谷社長の手腕にかかるところとなった。


バブル崩壊を契機に社内体制見直し

 社長に就任してまず手がけたことが、人事制度の仕組みを変えることだった。評価制度を導入し、成果に対してはきちんと応え、社員個々人にきめ細かく対応することでやる気を引き出せるように、社内体制を少しずつ整備し直していった。
 バブル経済が崩壊し、人材は採用しやすいものの販売が急激に落ち込むというアンバランスが生じ、この解消に時間がかかったという。「ピークの時期に本社を建て替え、その負担もありました。収益的にも大変厳しい時期でしたね。これを乗り越えるためにいろいろな取り組みを行いました」と当時を語る。
 それまで販売に偏りがちだった営業体制を見直し、サービス面の充実を図るなどの工夫を行うことによって、次第に業績は回復に向かう。社屋建設の負担が軽減され、戦力も適正化が図られて、その後は安定した実績を積み重ねることができた。
 近年、消費者の意識の変化は着実に進んでいる。車に限らず、あらゆる分野の消費動向には女性の視点が欠かせなくなった。コンパクトクラス中心の販売店である同社では、その傾向はなおさらだ。こうした状況に対応するため、女性メンバーだけで構成されたチームを発足させ、女性の目線に立った細部にわたるサービスができるよう体制を整えた。
 また、数年前から社内の「風土改革」に取り組み、社員一人ひとりの個性が生かされる企業づくりに力を注いでいる。店長を中心にさまざまなスキルを持ったスタッフが集まり、それぞれの立場から意見を出し合って問題の解決につなげる勉強会は、その代表的なもの。こうした社内の試みと、トヨタ自動車をはじめとした社外の研修などを組み合わせ、多面的なレベルアップを図っている。
 「トヨタではハイブリッドやプラグインハイブリッドに力を入れています。また、今後、電気自動車や燃料電池車など新しいタイプの車がどんどん登場してくることでしょう。新しい技術の車でも対応できるように、しっかりとした体制づくりに努めています」と喜谷社長は力を込める。


車を確実に届け地域社会の発展に貢献
トヨタカローラ栃木本社
トヨタカローラ栃木本社

 平成23年に発生した東日本大震災では、車が重要なライフラインの一つであることが明らかになり〝車を扱う仕事〟とはどういうものなのかを今一度見直すきっかけになった。
 「車をお客様にきちんとお届けるすること、それ自体が大きな社会貢献であるということです。また、私たちは車の登録を通じて、お客様のさまざまな情報を取り扱う立場にあります。そのことを十分に意識して業務に当たらなければなりません」。個人的な財産でありながら、社会的公器の性格を併せ持つ『車』という商品を届ける責任の重さを痛感したという。
 最近の車は故障しにくくなった。安全性能・環境性能ともに飛躍的に向上している。ともすれば整備をしなくても走れるとも思われがちだが、点検なくしては安全はありえないと訴える。「そのことを再認識してもらえるようプロの厳しい目を通して、安全に使っていただくための取り組みを進めていきます」。どんなことにもしっかりと応えられる商品知識を身につけたいと気を引き締める。
 少子高齢化社会の到来は、自動車販売の業界にも大きな影響を与えている。若い世代の人口減少によって販売の絶対数は減り、一方で運転を諦めざるを得ない高齢者も増えている。「ただ、栃木県ではまだ車離れはそれほど進んではいないと思います。いずれにせよ、自動車産業は日本経済を牽引する存在ですから、車が売れなくなれば日本経済全体が縮小していきます。そうならないように力を尽くしたいと思っています」。
 栃木県内各地域に24店舗を展開し、社員は460人を数える。『あなたの街のカローラ店』のキャッチコピーそのままに、地域に愛され、共に発展していく企業づくりを目指す。その一環として県内のプロスポーツチーム「栃木SC」「宇都宮ブリッツェン」「リンク栃木ブレックス」の3チームの支援を行っている。プロスポーツ活動のサポートはもちろん、チームを通じて地域活動やイベントなどにも力を入れている。『地元の栃木を元気にしたい』との思いからだ。
 休日には自転車を走らせる。風を切って走ることが、何よりのストレス解消になるという。自動車販売会社の社長が自転車、という取り合わせがユニークだが「自動車と自転車は決して対立するものではないんですよ。自転車が好きな人は大抵は車も好きです。お互いに良いところを合わせながら、暮らしを豊かにしたいと願っています」と共存の大切さを訴えた。



トヨタカローラ栃木株式会社
〒321-0194 栃木県宇都宮市上横田町798
フリーコール 0077-78-1233
URL http://www.corolla-tochigi.co.jp

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