有限会社 アクセルエルヴェ 岡本 功一 社長


美容業
心安らぐ「本物」の空間提供

リゾートホテルともいえそうな心安らぐ空間。
アクセルエルヴェは女性が求める「本物」を提供する美容室を目指す。
その中には、単身、海外へ渡航して修業を積んだ岡本社長の夢が盛り込まれている。


profile

昭和45年(1970年)栃木県矢板市生まれ。
中学校を卒業後、宇都宮市内の美容室に勤務。
22歳でロンドンに渡って修業後、25歳で独立。
砂田店を開店後に渡米し、ニューヨークのサロンで働く。
平成23年に鹿沼店を開店。現在、3店舗を展開。


単身ロンドンへ武者修行の旅に出る
岡本 功一社長
岡本 功一 社長

 岡本社長は矢板市内の中学校を卒業後、16歳で宇都宮市内の美容室に勤めて修業を積んだ。「高校に行って校則などに縛られるのがいやだったのです。ある程度自由がきく仕事を探して、行き着いたのが美容師でした」。がむしゃらに働きながら資格を取得し、21歳で店長を任されるまでになった。
 店を切り盛りする立場になってみると、あらゆるものへの〝見え方〟が違ってくる。考えるほどにさらに上の世界を目指してみたくなった。もともとスタイリストになったら、東京に出たいという願望もあった。世界の最先端のセンスを学びたいというその熱い思いは、東京を飛び越して、ロンドンでの〝武者修行〟へと結びつく。
 英語はしゃべれない。コネもない。家族は反対し、あるのは借金とがむしゃらな行動力だけ。うれしかったのは店のオーナーが「帰国したらまた顔を出しなさい」と励まし、送り出してくれたことだった。こうして22歳で渡英する。「スクールでなく、サロンで技術を学びたかったので、思い切って店に飛び込みました」。簡単には教えてはくれない。目の当たりにしたのは働くことへのシビアな姿勢だった。この経験が現在の原点になる。
 ロンドンでの修業を終え、元の店に戻ってしばらく勤めた後、25歳で念願の独立を果たす。宇都宮市内の石井街道沿いの元コンビニの居抜き店舗。スタッフ4~5人をそろえ、ロンドンで学んだ方法をもとに、写真撮影ができるスタジオを設けた。また、自分自身がパンク的なファッションが好きだったので、その路線を前面に打ち出す。店内にバイクを飾ったりもした。
 こうした店は、当時、宇都宮市内にはなく、変わった店として注目を集めた。「東京でなくても最先端をいくおしゃれが提供でき、スタッフが技術も学べる店にしたかったのです。お客様も個性的な人たちが集まればいいと思いました。栃木県で一番の経営者になりたいという意気に燃えていました」と岡本社長は振り返る。


お客様目線に立って新たな店づくり

 出店から5年ほどたったころ、経営に頭打ちの状況が生まれてくる。売り上げは伸び悩み、スタッフの出入りも激しくなった。当初は勢いもあって、自分が信じる路線を突っ走ってきたが、立ち止まって考える時期にさしかかっていたのだ。「今思えば、お客様目線に立っていなかったのですね。スタッフにも自分の理想を押しつけるだけだったような気がします」と当時を思い返して語る。
 借りていた店舗が建て替えをするため、立ち退きを要請されたのを契機に、宇都宮市砂田町に移転を決めた。それまでの方針を180度転換し、お客様が求めるものは何かを追求した店づくりを徹底した。「女性が美容室を利用する時、場合によっては半日近くもいることになります。その時間をできるだけ心地よく過ごしてもらいたいと思いました」。
 それにはどうすればいいかを考えてたどり着いたのが『リゾート』のキーワードだった。店の広さを90坪に広げ、スタッフの数も倍増。旅行で訪れたバリ島などのリゾートホテルを参考に、日常を忘れてゆっくりとくつろげる空間をつくり上げた。女性が停めやすいように駐車場も広く取った。デザイン面も個性を追求することから、幅広い要望に応えるナチュラルなものを重視する方針に切り替えた。
 砂田町は宇都宮市の郊外。決して便利な場所ではない。出店した際には、お客様が離れ失敗するのではないかとささやかれたともいう。しかし、新しいコンセプトはしっかりと受け止められ、県内でも2~3軒ほどしかないとされる月に1000万円を売り上げる店舗に成長することができた。「他の人から見れば不可能に思われることに挑戦して実現していくことが好きなのです」と笑顔が弾ける。
 この砂田店には自分の夢をそれなりに注ぎ込んだが、それでも予算などの面から妥協せざるを得ない部分もあったという。いずれは自分の理想を完ぺきに実現したサロンをつくろうと心密かに考えるようになった。さらに持ち前の挑戦する心は、自らの技量を磨くことへも向けられていく。砂田店が順調に回っていくのを見極めた上で、社長の身でありながら、単身ニューヨークへ再度の修業の旅へ出た。


理想を求めながら妥協なく実現した鹿沼店
AXCEL E'LEVER 鹿沼店
AXCEL E’LEVER 鹿沼店

 「一から学び直すつもりでニューヨークを訪れました。スタイルは意外にシンプル。お客様はサロンよりも個人についていて、料金もその人によって違うのです。自分の技術に誇りがあるし、頂く分だけはお返しする、という強いプロ意識を持っていました」と語る。カット技術は個人の財産という考え方だ。岡本社長は今、カット料金1万円という業界では破格の料金を掲げているが、自らの技量にプライドを持つニューヨークの同業者に、大きな刺激を受けたことがその背景にある。
 しかし半面、接客に関しては日本の方がずっと優れていることも痛感した。次の店を手がける時には、ニューヨークで学んだことと、日本のきめ細やかなサービスとを、両方織り込んだものに仕上げようと心を決める。こうした経験の集大成として平成23年に完成したのが、本社機能を置く鹿沼店だ。
 コンセプトに「豪華な空間に美しさと真心を込めたヨーロピアンリゾートサロン」をうたう。総敷地面積500坪、店舗面積150坪。外壁やエントランスにライムストーンをふんだんに使い、開放感のある高い天井、女性らしい色使いの室内は、まさにリゾートホテルそのもの。エステティックサロンとネイルサロンを併設する。「内外装には一切妥協せず、石や家具の買い付けも自分で行いました。ようやく自分が思い描いたクオリティーの店ができたと思っています」と胸を張る。
 自らの技術に誇りを持つ職人であり続けたいと願うが、一方でさまざまな経験を重ねる中で、人に任せる重要性にも気づいた。毎年ニューヨークへの研修に社員を派遣するなど、人材の育成に力を入れている。今後も機会があれば店舗の拡大を図っていく考えだが「人がいなければ器をつくってもだめ。あくまで人が育ったことを見極め、その人物にふさわしい店を任せる方針で進めていきたい」と語る。
 多くの人の手助けで自分の夢が実現できたので、今後は後に続く人たちを応援してあげたいという。「志を大きく持って、決めたことをやり通す精神があれば必ず実現します。厳しい時代ですがめげないで」と若い人たちに激励の言葉を贈る。


有限会社アクセルエルヴェ
〒322-0028 栃木県鹿沼市栄町2-22-1
TEL 028-960-6612
URL http://www.axcel.ne.jp

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栃木の活性化の起爆剤に。