絆アセットマネジメント 株式会社    小沼 正則 社長


アベノミクスで日本経済は大きな転機を
迎える!!株価も歴史的な底打ちか

アベノミクスに市場が沸騰
小沼 正則社長
小沼 正則 社長

 アベノミクスの効果に為替、株式市場が沸いている。安倍首相の国(国民生活)を思う気持ち、つまりなんとか日本を再生させようという思いに対し、一部に効果を疑う冷めた視線、揶揄など、心根の卑しい論調はあるものの、20年デフレに苦しんだ多くの国民は、円安、株高、大手企業に広がる賃上げに大喝采を送っている。
 今や常識になりつつあるが、安倍首相の経済政策(アベノミクス)は三本の矢に例えられるように、大きく分けて三つある。一つは金融政策で「次元の異なった金融緩和」、次が財政政策で国土強靭化を核に10年間で200兆円を投入するというもの、最後が成長戦略でTPPの参加や法人税減税、規制緩和などが挙げられる。
 中でも今一番注目を集めているのが「次元の異なった」金融緩和政策である。従来日銀は既に十分金融緩和を行っており、デフレの真因は金融緩和の足りなさではなく人口減や政府の構造改革の遅れというスタンスをとってきた。これに対し安倍首相の懐刀である浜田イェール大名誉教授は、世界経済に様々な困難があるのは事実だが、名目・実質ともに日本だけ圏外に置かれているのは異常。人口減などによる潜在成長率の低下は事実としても経済が潜在成長率のはるか下のところで運行していることが問題であり、デフレ・円高といった貨幣に関することは金融政策のみで解決が出来ると訴えてきた。
 安倍首相は今までの日銀のスタンスを批判、浜田氏とも近い黒田東彦氏を新日銀総裁に据えることで政策の大転換を図ろうとしている。
 マーケットはこれに素直に反応し円安・株高が続いている。デフレ期待の定着、つまり何をしてもダメだというような諦めムードが漂っていた株式市場だが、安倍首相の強力なリーダーシップにより死んでいたリスク資産が復活したといえよう。


実際は株高政策!!

 現下の日本、あるいは米QE2局面でも金融政策は効かないという意見があった。金利が極限まで低下した状況では「流動性の罠」が働いており、これ以上緩和しても効果は薄いというものである。しかし米QE2では実際に効果を発揮したし、日本でもその効果は発揮されつつある。経路は実体経済からというより期待に訴えかけることで、まず株式や不動産への投資機運の高まりから始まった。これを危ういとする意見もあるようだが、株式が異常まで割安となっている状況の下(たとえば配当利回りが6%を超えるような銘柄が多数出ていた)では至極当然の措置といえるだろう。デフレ期待の定着は極端なリスク回避を招き、これが株式への投資資金の流入を妨げた。
 日本にとって幸運だったのは円安=ドル高にもかかわらず米国の理解があったことだろう。事実、バーナンキは「彼ら(日本政府)はデフレを追い払う努力をすべきだ。私はデフレ一掃を目指す彼らの取り組みを支持する」と述べ日本の政策に理解を示した。これには二つの要因が考えられる。一つは、内需主導で米国経済回復が緩やかに回復してきていることへの自信(これにはシェールガス革命による製造業の米国回帰などの現象も大きく寄与している)。二つ目は、安全保障上これ以上中国の暴走を許すことはできないこと、つまりは日本経済再生が米国にとっても重要な問題となってきていることである。
 1990年、日本のバブル崩壊は東西冷戦構造の終焉とともに起きたが、今度は中国の台頭の中で再び日本が輝きを取り戻すというのも何やら因縁めいて面白い。


世界的にも資金の流れに変化

 さて今までは日本を中心に見てきたが、国債などの安全資産から株式などのリスク資産への資金移動は世界的な流れでもある。2013年中に米国の長期運用資金がアセットアロケーション(運用資産配分)を大きく見直すという観測も高まり、一部の市場関係者は「グレート・ローテーション(資金の大転換)」の到来に期待をかけている。
 2008年9月のリーマン・ショックでは、株式・リート(不動産投資信託)・商品などなどリスク資産は散々な結果となった。その後、一時的な株価回復はあったが、2011年になるとギリシャなど南欧諸国を中心としたソブリン(国家債務)危機が深刻化、世界の資金は米国・日本・ドイツなどの国々の国債へと「質への逃避」を強めた。この流れが逆転しつつある。
 このような資金シフトが起きる中、米国ではダウ工業株30種平均が2007年10月の史上最高値(1万4164ドル)を奪回。英FTSE100指数、独DAX指数も史上最高値に近づき、フィリピンやインドネシアのような新興国市場は過去最高値を更新し続けている。世界の株式時価総額は約58兆ドルに膨らみ、2009年2月に比べて倍増しているのである。

景気の先行き判断指数(出典:内閣府 景気ウォッチャー調査 平成25年2月調査 より)



回復する日本経済

 期待先行といわれるアベノミクスだが、しかしその期待に応えるべく実体経済も動き出してきた。株価との連動性の高さが指摘される2月の内閣府の景気ウォッチャー調査の結果は出色であった。
 景気の現状判断指数は前月比3.7ポイント上昇の53.2となり、4カ月連続で上昇、先行き判断指数も57.7となり4カ月連続の上昇となった。具体的には、家計動向では高額品や乗用車などを中心として消費者の購買意欲の改善が引き続きみられる事、企業動向では円安傾向が続く中で、製造業を中心に受注や採算の改善が引き続きみられる事、雇用関連では建設業・サービス業等での求人が増加している事などが報告され、日本経済が着実に持ち直していることが裏付けられている。
 アベノミクスの成功により、さらに日本経済の再生に弾みがつく可能性は大であり今後の動向に注目してみたい。
 なお先般の景気回復(02年秋以降の戦後最大の景気回復局面)は輸出主導で、世界に販売拠点を持つ大企業のみが恩恵を受けるという構図が鮮明だった。今回の回復はデフレ退治とともに雇用の回復・賃上げ・地方経済の回復など、より幅広い層へメリットが行きわたるものではなくてはならない。安倍首相の手腕に期待したい。


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