国立大学法人 宇都宮大学 地域共生研究開発センター 鈴木 昇 センター長

ご寄稿
大学の敷居は無くなったか?
地域共生研究開発センターへお気軽に
地共センターの変遷
鈴木 昇 センター長

鈴木 昇 センター長

 1989年に宇都宮大学地域共同研究センターが設置された。設置場所は旧電子計算機室(現在の工学部附属ものづくり創成工学センター)であり、初代センター長に宇津木教授(故)が就任し、宇津木研究室のスタッフであった私は、センター長や客員教授の机を設置するなど整備に駆り出された。今その記憶が甦っており、7代目のセンター長の職を昨年度から拝命したことは、何らかの縁があったのであろう。
 1991年にセンターニュースレター「アクセス」が創刊されたが、大学およびセンターへの接近、出入り、共同研究・相談等の窓口(入口、方法など)を考慮したものであり、皆様をお迎えするといった精神は今も受け継がれている。1993年には現在の建屋が竣工し、活動もさらに進展した。2005年には機器分析センター(1998年設置)およびサテライトベンチャービジネスラボラトリー(1998年設置)と統合し、現在の地域共生研究開発センター(地共センター)となった。

地共センターの概要

 現在の地共センターは4部門を有している。コーディネーション・リエゾン部門はセンターの窓口であり、企業等からの要請に対して「ワンストップソリューション」を目指して、教職員およびコーディネーターがお応えしており、技術開発等における企業と研究者のマッチングを図っている。大学院VBL部門は、「ベンチャーマインドを持つ大学院生の育成」を初期の使命としていたが、現在ではインキュベーション施設としての機能も有し、研究成果の発信と実用化を推進している。先端計測分析部門は、多くの計測・分析機器類を有しており、設立当初から学内の共同利用施設として、装置の維持管理、利用講習、および依頼分析を担当し、研究の推進に貢献してきた。そして、他大学や公益機関との連携を図るとともに、2010年度からは学内研究に支障の無い範囲で、分析機器類の使用(依頼分析)を民間にまで広め、既に多くの実績を有している。今後も多くの企業に利用して頂ければ幸いである。客員部門は、18名の客員教授、16名の産学官金コーディネーター、産学官連携研究員等で構成されており、センターの活動を支えてもらっている。
 なお、本学には知的財産センター(2006年設置)もあり、教育及び研究の成果を知的財産として効果的に発掘・保護・管理するとともに、知的財産の積極的な技術移転推進による地域・社会の活性化に貢献することを目的としているが、その性格上、産学官連携と密接に関連しており、二つのセンターは「完全一体連携」で活動している。

地共センターの活動状況
宇都宮大学企業交流会の様子

宇都宮大学企業交流会の様子

 センターの重要活動は地域との連携であり、共同研究を推進することである。近年は120件、総額1億円で推移している。ここで特筆すべきことは、地域企業との共同研究であり、2012年度の124件中栃木県内の企業等が45件となっている。また、中小企業との共同研究が53件であり、そのうちの36件が県内中小企業である。技術相談件数は、企業等と教員との直接の相談、電話やメールでの相談などを含めるとかなりの数になるであろう。
 先端計測分析部門における学内共同機器(20機種以上)の学外企業等への開放事業では、2012年度に36件(8社)の依頼分析を行った。
 また、地共センターが関与している光融合技術イノベーションセンターは、栃木県の強みである光産業の集積と宇都宮大学オプティクス教育研究センターの知の集積を活かし、光融合技術の発展と人材育成を目的とした機関であり、企業に使って頂くことを前提としている最新鋭装置を15台以上有している。これらの装置類についても大いに利用して頂きたい。
 地共センターのメイン行事の一つに、宇都宮大学企業交流会がある。年1回、マロニエプラザで実施しており、本年度は9月9日に開催された。学内研究のポスター紹介がメインであるが、近年は栃木県農政部や栃木県産業技術センターの協力による研究紹介、銀行等の支援機関の案内、産学連携事例発表、産学交流振興会会員企業発表、そして産学官連携に関連する講演会など多彩となっている。

共同研究・技術相談へのアクセス

 前述のように、地共センターは、共同研究や技術相談等における地域企業の最初の窓口として活動している。
 また、財団法人栃木県南地域地場産業振興センター内に当センターのサテライトオフィスを開設しており、センター内教員やコーディネーターが月1回程度出向いている。
 さらに、県内19の高等教育機関から構成される大学コンソーシアムとちぎが主体となり、かつ栃木県のご協力により、とちぎ産業創造プラザ内にサテライトオフィスを設置している。こちらでは二人のコーディネーターがお待ちしており、各種相談・マッチングに対応している。

敷居からトラップへ

 「大学は敷居が高い」と言われ続けているが、その高さがどこにあるのかを探求し、より低くすべくここ10年程努力してきている。しかし、当事者は自らの欠点を理解しづらいものであり、敷居をさらに低くし、それを無くすため学外の方々からの声を是非とも頂きたいと思っている。その繰り返しが、栃木県と宇都宮大学双方の発展に寄与するであろう。特に地共センターは窓口でもあり、前述のように多くの方法で企業とのマッチングに向けて活動している。今後も地域のため、より良い方策を生み出すことができればと考えており、敷居を外した後に交流のためのトラップとなるような大きな穴を掘ってみたい。

最後に

 地共センターは地域の各種機関・団体から多大の協力を頂いており改めて感謝を申し上げます。特に、産学交流振興会には共同研究への費用助成など、地共センターが行う事業を支援して頂いておりここに深謝する次第です。
 風通しのより良いセンターを目指しますので、相談等ありましたら、まずは電話等でご連絡下さい。

国立大学法人 宇都宮大学 地域共生研究開発センター

〒321-8585 栃木県宇都宮市陽東7-1-2
TEL 028-689-6320
URL http://118.82.78.28/collabo/

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栃木の活性化の起爆剤に。