株式会社 むぎくら 手塚 きぬよ 社長

不動産業・建築業
低コストで高品質住宅提供

変転の激しい不動産業界を、手堅い経営手法で乗り切ってきた株式会社むぎくら
。県内での建売住宅販売の先駆けとして、低コスト・高品質の家を送り出してきた。
「出逢えてよかったと実感できる」企業づくりに力を入れる。

profile

昭和47年(1972年)栃木県宇都宮市生まれ。
宇都宮海星女子学院を卒業後、埼玉女子短期大学商学科に進学。東京で勤務の後、平成15年1月に株式会社むぎくらに入社。
同年9月常務取締役、18年に代表取締役社長に就任。

衣料品の百貨店から不動産業に転換
手塚 きぬよ 社長
手塚 きぬよ 社長

 「むぎくら」といえば、宇都宮市内に住むシルバー世代には、オリオン通りにあった百貨店としてなじみが深い。創業は昭和29年。戦後の混乱もようやく落ち着き、人々がおしゃれにも目を向け始めたころだ。モダンな衣料を扱う5階建てのビルは、伸びゆく日本経済の象徴的な存在でもあった。
 「残念ながら、その時代のことは、ほとんど知らないのです。40年代半ばごろに、衣料品のデパートとしては経営が厳しくなったようで、48年に業態を転換しています。当初は不動産取引が主だったようですが、徐々に建築に手を広げ、現在の形になりました。衣料関係の商売を始めたのは曾祖父でしたが、不動産・建築業になってからは、父が取り仕切っていました」。宇都宮周辺の建売住宅の販売では、先駆け的な存在となった。
 業態変更から40周年になるが、この間、不動産業を取り巻く環境の変転は目まぐるしかった。その中で、事情をよく知る人に、当初からの社名で現在も営業している会社は、宇都宮周辺ではおそらく同社だけではないか、と言われたことがある。手堅い経営手法を物語るエピソードだ。
 手塚社長は宇都宮海星女子学院から埼玉県内の女子短期大学へ進み、卒業後は東京で絵画販売に携わった。「祖父が絵を描いていたこともあり、小さなころから美術には興味があったのです。ポスターやリトグラフなど、比較的小さな作品を取り扱う会社でした」と語る。その後、ネクタイなど輸入衣料品を通信販売する商社に勤務した。韓国に単身で買い付けに行ったこともあったという。
 こうして5年間ほど、それなりに充実したOL時代を過ごす。当時は家業を継ぐことになるとは夢にも思ってもいなかったが、これらの経験は、後に経営者となってからも視野を広く保つ上で大いに生きることになる。
 東京での生活を切り上げて宇都宮に戻り、社会保険労務士の事務所に勤務して、総務や財務関連の実務を身に着けた。それまで母親が財務関係を担当しており、それを引き継ぐ形で経理部門の社員として、平成15年1月に入社する。そして、その年の決算終了後の9月に常務取締役に就任した。「ここまでは父親が敷いたレールにそのまま乗っかっているだけ、という感じでしたね」と笑う。

人材力を伸ばすため取り組みを進める

 平成18年、35歳の若さで代表取締役社長に就任した。以来、会長の父とともに経営を切り盛りしてきた。「不動産のことなど何も知りませんでしたから、最初の2、3年は無我夢中でした。消極的ですが、とにかく会社を維持していくことで精一杯でした」と当時を振り返る。
 不動産は状況によって対応の方法がさまざまに変わる。時には買い付けに失敗したりすることもある。「万が一、会社が継続できなくなったりすると、たくさんの方にご迷惑をかけることになってしまいますので、とにかく必死でした」。折しも不動産会社の倒産が相次ぎ、住宅購入希望者に不安が広がっていた。この苦難をどう乗り切るか、思案に暮れていた時、巡り合ったのがあるセミナーだった。
 企業経営者としてのリーダーシップを養うというよりも、自分の内面を見つめ直す内容のものだったという。「取りあえず社長を引き受けた、という感じで、特にやりたいことがあったわけでもなく、支えるものは責任感だけという状況でした。このセミナーをきっかけに、〝社長業を楽しんでみよう〟と考えられるようになったのです。どうせやるのなら自分の色を出してみようと、それからいろいろな勉強を始めました」と転換期を語る。
 社内をあらためて見直して気づいたのが、人材育成の大切さだった。ほとんど父親一人で会社を運営していたこともあり、やむを得ないことながら、社員の中には自ら考え、行動する意識が希薄なようにみえた。若い社員が多かったという事情もある。
 まず、自らが経営者としての資質を高めるため、プロによるコーチングを受けた。それを徐々に幹部社員に広げ、〝人材力〟を高める試みを始めた。その取り組みは現在も継続している。「基礎的な実績は父が築いてくれていたので、そうした点は苦労をしないですみました。今は父がつくってくれた土台の上に、建物を建築している時期です」と現状を分析する。

多彩なプランの中から選べる希望の家
株式会社むぎくら社屋
株式会社むぎくら社屋

 現在、売り上げのウェイトでは、建築が3分の2、残りが不動産取引という割合だという。主力の建売住宅では、在来工法とツーバイフォー工法との2つの工法を採用し、それぞれに100種類以上のプランを用意している。
 「低コスト・高品質の住宅の提供は、当社の昔からの基本方針です。ここにデザイン性や自由度の高い設計が加わって、お客様に好評をいただいています」と語る。
 アンケートでも、コストパフォーマンスが優れている上に、多くのプランの中から選べるため、希望に沿った家づくりができた、との声が数多く届いている。平成24年度は過去最多の130棟以上を手がけた。これらの基礎の上に、今後、新たに積み上げていくべきものを検討中だ。
 低コストが実現できるのは、なるべく広告宣伝費をかけないこと。分譲地の一区画にモデルハウスを建築し、3カ月から半年間は展示用として使用する。その後はお客様にもメリットのあるモデルハウス価格として販売し、在庫を残さないようにする。「さらに、最近は担当者の人柄を気に入っていただき、注文して下さるお客様も増えました」。人づくりの努力が実を結んできたことに目を細める。「お客様とのつながりをさらに強め、建築後のお付き合いもきちんとできる体制を整えていきます」と今後を見据える。
 社員で知恵を寄せ合って作った『目的』『ビジョン』などが、つい先ごろでき上がった。『ビジョン』には『私たちは、「むぎくらに出逢えてよかった」と誰もが、いつまでも、実感していただけるチームを目指します』とある。「お客様、お取引先、社員など、誰もがむぎくらとの出逢いを喜んでもらえる企業でありたい」との強い思いを込めた。
 取引業者でつくる『麦親会』の懇親会でチャリティーオークションを行い、その収益を知的障がい者育成団体に寄付している。父親の代から続く伝統だ。「地域に貢献できることには、可能な限り取り組んでいきたい」。地域密着の基本姿勢は常に変わらない。

株式会社むぎくら

〒320-0051 栃木県宇都宮市上戸祭町3021-7
フリーコール 0120-37-1806
URL http://www.mugikura.co.jp


このページの先頭へ

栃木の活性化の起爆剤に。